就業規則作成のポイントは、何といっても自社の実態に即した内容となっているかということです。
よくお聞きするのは、よその会社の就業規則をまねて作成した・・・問題が起きて中身を見てみると全く違う、又はリスクのある内容だった というものです。
就業規則は一旦決めてしまうと変更するにもやはり届出が必要ですし、労働者に不利益な変更はとても難しいのです。
さて、絶対的必要記載事項ですが、すなわち労働条件の内容となります。
労働時間に関すること、休日・休暇に関すること、賃金に関すること
1行で書いてしまうと簡単ですが、内容は十分吟味しなければなりません。
ここで細かく解説するとキリがありませんが、例えば、休暇=単に有給休暇のみならず無給でも良いが与えなくてはならない休暇、その他の自社独自の休暇、育児介護休業も休暇に含まれますので絶対的記載事項として規定を記載しなければなりません。
一方、休職に関する事項は絶対的必要記載事項には含まれておらず、記載しなくても問題はありませんが、もし自社で定めがあるのなら(休職制度を設けているのなら)記載するべき項目です。
記載がないということは休職制度がないということで、病気療養などで長期休業する場合、期間あるいは復職の基準等が曖昧となります。
また、近年は就労形態の多様化が進み、有期雇用、短時間労働者等 正社員の労働条件のみの就業規則では補えない場合、それらの労働者独自の就業規則も作成しておいた方が良いでしょう。 就業規則本則に「別途定める」と規定してあっても、未定であれば、本則が適用されることになるからです。
このようにして作成した就業規則(案)は、事業場の労働者の過半数を代表する者(労働組合がある場合は組合代表)の意見を聞き、その意見書を添付して所轄の労働基準署長に届け出ます。
最終段階として、所轄労働基準監督署長によって受理された就業規則(確定)は、その内容を従業員に周知させなければなりません。(労働基準法106条)
「周知」とは就業規則を、労働者が必要なときに容易に確認できる状態にあることとされており、書面による備え付け、交付、電子媒体によるPCでの閲覧等です。
以上、就業規則作成の手順を簡単に述べました・・・・
それでは、労働者代表の意見書が反対意見だったら・・・記名押印を拒まれたら・・・
労働基準監督署長に未提出の就業規則の効力は・・・等々 就業規則作成上の問題点はまた次回で・・・・
う~ん ひっぱるなぁ~・・・・
さて、最近就業規則に関するお問い合わせ、作成・変更依頼がちょくちょくあるのですが、これはとても大切なことなので、ちょっと解説・・・
そもそも「就業規則」とはなのですが、これは文字通り 就業=会社で働くための 規則=ルール なのであります。 従って会社が決めるべきルールでありそれぞれの会社、業態によって様々な就業規則があって良いのです。
とは言ってももちろん法令に違反するようなルールはダメなので、最低の基準、きまりを労働基準法で定めています。
まず作成の義務ですが、「常時10人以上の労働者を使用する使用者は就業規則を作成し、行政官庁に届出なければならない。」(労基法89条)と定められています。
常時10人以上とは、正社員のみならず、パート、アルバイトを含め常時10人以上が就業しているという事実があることです。(退職者が出て、今月はたまたま9人だけど、すぐに補充要員を雇ってまた10人になるなど・・・)
事業主さんにとって「就業規則」は、できれば作成したくない、明文化するとルールに縛られる・・・と考える方もいるようですが、その事業所でのルール=労働条件なので、曖昧にして労使紛争になるよりはきちんと定めて労働者に周知しておきなさい というのが労基法の趣旨で、作成を義務化しているわけです。
厳密には10人未満であれば作成の義務はないわけですが、「就業規則に準ずるもの」として作成を推奨しています。
さて、中身ですが、先に書いたようにそれぞれの事業所、業態によって内容は違ってよいのですが、労基法では絶対的必要記載事項(その事項について必ず取り決めをし、就業規則に記載することが義務付けられているもの)、相対的必要記載事項(その事項について取り決めがあるのであれば記載しておかないと法律上効力を生じないもの)として以下のように定められています。
絶対的必要記載事項
① 始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替 に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
② 賃金(臨時の賃金を除く。以下において同じ)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
相対的必要記載事項
① 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
② 臨時の賃金等(退職手当を除く)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
③ 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においてはこれに関する事項
④ 安全及び衛生に関する定めをする場合においてはこれに関する事項
⑤ 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
⑥ 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
⑦ 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
⑧ 上記に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
この他に、任意的記載事項(取り決めについて記載するかどうか当事者の自由であるもの)があり、その事業所独自のユニークなルールもあってしかりというところです。
あまり長くなると最後まで読んでいただけないので、シリーズ化するということで、今日はこの辺で・・・・To be continued
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